ほらできた!
乗合船は24フィートと大きく絶大な信頼感です。波を切る乗り味も柔らかい。ドッパンドッパンと波をたたくハンマーとの違いを感じるだけでも楽しいです。
さて今日は釣り納め。おまけに久しぶりの遠征でちょっとワクワクしています。
さっそく始めれば、投入のフォール中にヒット。隣のゲストにアタリがあった直後だからごっつぁんヒットなのでしょう。電動のスプールが巻けないところをみるとサイズは悪くなさそうです。日頃なら慎重にやりとりするところだけど今日は乗合船。はやくあげなきゃと電動でのポンピングを始めました。テンションは抜いていません。でもバレてしまうんですよ。フォールで食ってきたので鯛玉だけを咥え、針は外側にあったのかもしれませんね。バレて惜しかったけど、釣りはこれから。チャンスはいくらでもあるはず。
ところで乗り合い船はドテラ流しと、私の日常スタイルとは異なります。タックル構成も狙い方も自分だけ違いました。だから周りとオマツリしているのは私だけ。ひどい体たらくです。このオマツリを繰り返すうち自分に腹が立ち始めました。なげやりになりそうです。まずいなぁ。
そんなさなかに竿が折れてしまいます。絡んだオマツリのラインをほどこうとして、動くロッドを腹で押さえたのです。そこであらぬ角度に力が入ったのでしょう、計算外の力を加えられた竿は簡単に折れてしまいました。ずいぶんと冷静さを欠いていたのだと思います。やらかしたぁ・・。
しかし、不思議とマイナス思考にはなりません。感情が爆発するのかと思いきや、この状況を他人事のようにみることができているのです。この後のリタイヤも受け入れられました。
これを横で見ていたゲストさんが「予備のロッドを貸しますよ」と言ってくれます。もちろん感謝してお断りするんだけど、不思議と折れた竿でもできる気になっているのです。だって電動リールだもん。いざヒットしたなら電動モーターだけで寄せればいい。不思議と前向きな気持ちになっているのです。ただでは起き上がらないぞ、折れた竿でも釣りをしてみせるという気持ちになっていました。
まずはガンネルから身を乗り出して短くなった竿先を遠くに突き出します。ラインを船底に擦らせないためです。次にタイラバを離れた位置に落とします。そしてリールと一直線に巻き取る。すると何やら違和感です。“ももっ”とした感じ。おそらく魚が掛かりました。穂先のない釣り竿の感触とはこのようなものでしょうか。果たしてやりとりもなく上がってきたのはかわいいオオモンハタでした。
「ほらできた!」とつい声が出ます。それはしてやったりと思ったからじゃありません。ラインをオマツリさせてロッドまで折ったヘマな自分でも腐らずにこなせたんだと言いたかったのです。
そんな前向きな気持ちになれたのは、ゲストらが接してくれる優しい気持ちと、年末にしてはぽかぽかとした暖かさがあったと思います。助けてもらいました。
ということで、一年の釣り納めでした。乗合船という例年とは違う釣り方でしたが、不思議と穏やかな気持ちで一日を終えられた気がします。
人生においてもまたひとつ歳を取り、もう昔の自分には戻れないとの実感を強めています。そんな流れにあって、年末のような気がせず、穏やかにくくれてよかったんだと思える12月30日の日でした。
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