2006.05.12(金)大潮
2月にボートを購入してから何度か出船してみた。
海の状況としては、年明けから4月あたりまで北風の強い傾向にある。
こと国東半島の北側においては、上四半期の出船はまず難しい。強風が波を立たせ、海を荒れさせるのだ。
これまでの数少ない出船も1時間程度のものが多く、じっくり攻めて釣る事は不可能に近かった。
5月に入ったある夜、懇親会の帰りにある川の橋を通る機会があった。
すると、橋の上から若者がルアーをキャストしている。
「迷惑な上に危険な奴らだ」と眺めながら、ふと思った。
「エレキのオートパイロットが試せるかもしれない」
そう、私のボートには、ミンコタ・リップタイドという立派なエレクトリックモーターが装備されているのだ。だけど使ったことがなかった。
オートパイロットとは自動運転装置のことで、操縦をしなくても流れの中でボートを一定の場所にステイさせてくれるありがたい機能のこと。これがどれほど有効なのか知りたい。
後日、大潮になるのを待って、そそくさと出かけることになった。時は夜である。
この川は浅い川のため、満潮からの出船だった。
河口付近の港からボートを降ろし、一番近い橋まで駆け上る。
水深は3m~4mほどしかない。干潮に向けて、深度に気を配る必要があるだろう。
橋の欄干付近まで近づくと、エサ釣り師が一人、歩道橋に竿を立てかけている。この川下にはウキが浮かんでいて、そこまで釣り糸がつながっているはずだ。うっかり引っかけるわけにはいかない。
私はエサ釣り師から離れ、中央付近の欄干に近づいた。外灯のシェード(陰になった部分)はすぐ目の前だ。すぐさまキャストしたいという気持ちを抑え、エレキを繰り出し、オートパイロットのスイッチを入れた。
オートパイロットは、まず流れのある(流れてくる)方向に向きをあわせる。こうすることで、ボートが右に傾けばエレキは左を向いて、ボートを一定の場所にキープさせようとする。
次に推進力の調整だ。メモリは1から10まで設定されており、その位置に留まろうとすれば、流れの強さに推進力をピタリあわせなければならない。流れの強さが常に一定なら一度の調節でOKだが、欄干の正面と横とでは流れの強さが違うので、実際にはその都度調節が必要だ。
欄干の手前、シェードから1mのところにボートをステイさせることにした。
キャストするのはミノーだ。流れに対して斜めに引いてくる。
川下からのリトリーブのため、なるべく流れに斜めに当ててルアーを泳がせる必要がある。
ボートは穏やかに蛇行しながら、一定の位置をキープしている。
「オートパイロットは思いの外使えるんだな」と、思わずニンマリする。
自動的に動きながら、絶好のポジションを提供してくれる状況が、何とも心地よい。
アタリがないと見るや、一旦バックさせて違う欄干に移る。再度オートパイロットのスイッチを押して推進力の調整をする。そしてキャスト。この状況ならば、キャスト数が制限されることはない。
「いいシステムだなぁ」と、実感する。
・・・と、いきなりバイトはきた。
「コン!」という明確でどこかチンケなアタリ。案の定、セイゴだ。それも25cm。
苦笑いとともに、この橋のアベレージサイズであることを思い出した。
今回の釣行は、主にオートパイロットを試すことだった。
果たして結果は「とっても◎!」だ。
これは大きな武器になるぞと満足して川を下った。
今回のチェックポイント
1.オートパイロットは有効な武器だ。
2.ただし、フットコンでの推進力の調整には手間がかかる。
3.満潮でもこの川は浅い川だ。河口側では2mを切る。
4.橋脚下は、通年セイゴクラスのようだ。