止めるか行かせるか
沖にブレイクがあるのが分かります。捕食のためベイトを追い詰めるのならこの段差だろう・・そう思います。
ならばこの段差を駆け登るようにルアーをリトリーブさせよう。
不意に
“コツン!”というアタリがありました。途端に走り出します。
"ビュュュュュュュュ~~~~~~~ッ!”
サーフで青物を掛けたか?
その時は突然に訪れたのか?
下積みの報われる時が来たのか?
ブリなら60UP。いや現実は50UPだろう。そう思わせます。
その間も魚は走り続けています。どシャローですからね。
ともかく千載一遇の貴重な魚です。この状況をどうするか。
止めるか、行かせるか。
知れない沖の第二ブレイクを潜られたらラインが擦れてしまう。そう思ってスプールを押さえにかかります。でもブリなら底に向かうことなく中層でうろついてくれるかもしれませんよね。けれど潜られたら・・。 短い時間でいろいろ考えます。ここでスプールを包む手に力が入りました。
すると
“フッ”。テンションが抜けたのです。バレてしまいました。
「くそっ!!」。
竿を振って悔しがります。
不意に訪れた貴重なチャンス。なのに魚を手にすることはできませんでした。悔しい。
それでも胸は未だ高鳴っています。心に新しい風が流れ込んでくるようです。
「あぁ~ドキドキした・・」。
それは経験のない世界に触れた気持ち。だって胸の高鳴りが収まらないもん。
このときめきを手放せず、間髪入れずにルアーを投げ始めます。ベイトを追っているのならブレードはどうだ?。遠投して手前のブレイクに誘い込むことができます。
アタリがないのならワームに戻そう。青物にはシングルフックがいいと聞きました。でもエビるじゃないか。
相変わらずバイトがないなぁ・・。
ここでふと思います。あれ?フックに残されたウロコは何だっけ。大きかったよな・・。
写真をマジマジと見返します。するとどこからか軍曹の声が聞こえました。「ブリならもっと小さいはず」。
んん?。このウロコの大きさは・・。
もしや
ボラ?
全身の力が抜けるようです。
「そんなのアリかよ~~」。
「あんなに喜んだのによ~~」。
「遠征してボラの背掛かりとはよぉ~」。
先ほどまでの胸の高鳴りはどこへやら。魂が抜けたようにうなだれます。
「もうサーフはいいかぁ・・」。
そんな言葉を飲み込むのでした。
あなたにおススメの記事
関連記事