④ NA8C

ささ

2015年09月17日 09:00




話は流れた。
専門書まで買って勉強を進めてきたのであるが、このクルマを買うことはできなかった。一度は話が決まり、進めていく段取りまでこぎ着けたものの、諸事情によりこの話はなかったことにしてもらった。手にした夢が指の隙間からこぼれ落ちていくようであった。

そのNA8Cである。じつは知人の車に2度ほど試乗させてもらっている。快く貸していただいたそれであったが、正直に書くと、思いの外ときめかなかった。気づかないうちに私の閾値は上がったのだろうか。確かに軽くてクルマが手の内にあるような体感を得た。一発のステアで狙ったラインを曲がっていく。そんなことが可能だろうとも感じた。しかし、また乗りたいとは思わなかった。

いいクルマであることはわかる。以前乗っていたCR-XやMR-2とは違い、特別なクルマであることもわかる。しかし、不安を感じていた。自分に合わないのではないか。こんな違和感を持ちながら維持できるのだろうか。私には何が合っているのだろう。そう思うようになった。迷っていた。



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